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Channel: 新人が語る心に残る看護場面 | 東京医科大学八王子医療センター 看護部
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私の心を救ってくれたくれた言葉

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入職して半年が経った頃に受け持ったAさんとのことです。私はその日Aさんを含めて10人の患者さんの受け持ちをしていました。患者さんの中には意識レベルが悪く、話すことができない患者さんや、見当識障害・認知機能の低下があり、会話の内容がなかなか成立しない患者さん、不安感から大声で叫んでしまう患者さんなどもいらっしゃいました。私は先輩と一緒に業務を進めながらも、出来る限り事務的にはならないようにしたいと思い、患者さんの声が聞こえたら病室へ行き、患者さんの思いを聞くように心がけていました。ですが、なかなか思うように患者さんの反応が返ってこなかったり、気持ちを汲み取ることが難しかったりで、時間ばかりがどんどん過ぎてしまうように感じていました。そして患者さんの思いを大切にしたいという自分の気持ちと、効率よく業務を進めなければならないという思いから、だんだんと焦りを感じ始めていました。

そんな中、受け持ち患者さんのTさんのところへ行き、声をかけていた時にTさんから「あなたに言ったってわからない。私は辛いのよ。」と言われてしまいました。私はTさんになんと言ったらいいのかわからなくなってしまい、自分の考えや関わり方は間違っているのかもしれないと思い、何が正しいのかわからなくなってしまいました。そしてだんだんと患者さんの叫ぶ声に心が遠のいて、追い詰められていってしまいました。それでも気持ちを切り替えなきゃと思いながら、Aさんのいる病室へいきました。その時不意にAさんから声をかけられました。Aさんのもとへ行くと、「あんたは偉いよ。よく頑張ってる。言っちゃ悪いけど、他のベテランさんはスルーしちゃってるところ一生懸命話を聞こうとしててさ。忙しい仕事だし、大変だと思うけど、その気持ちは忘れちゃダメだよ。」とおっしゃったのです。私はその言葉を聞いて、涙が出そうになりました。このままの私でも良いのかもしれないと、その言葉から思うことができました。

一人前の看護師になれるまでには、まだまだ努力が必要で時間がかかると思います。それでも焦って事務的・作業的にはならないように患者さんの気持ちと向き合って看護したい、そしてそれを大切にしたいと思いました。Aさんの言葉を忘れずに、これからも働いていきたいです。

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